
一昔前、胸腺のはたらきは謎に包まれていました。しかしながら、20世紀半ばから、徐々に解明されていきます。
胸腺を取り去ったマウスが、とたんに伝染病にかかったり、他の哺乳類の赤血球を注射しても抗体ができなくなるなど、免疫が機能しないマウスになってしまったのです。
胸腺では、骨髄から移ってきた幹細胞(血液細胞のもとになる細胞)が、急速な分裂と増殖を繰り返し、リンパ球となります。やがてリンパ球は、胸腺中を充満するようになります。
現在では、このリンパ球が免疫システム上で、重要な働きをすることが知られています。特に、Tリンパ球(T細胞)は、胸腺内で「自己」と「非自己」を見分ける能力を身につけており、病原菌や癌(がん)細胞などから身体を守る高度な免疫システムの中心的役割を果たします。
Tリンパ球(T細胞)のTの由来は、その教育機関である胸腺「Thymus」の頭文字です。
現在、免疫に関する研究は、非常に急速な進歩を遂げています。
最近では、T-リンパ球の分化成熟に不可欠な因子といわれる、胸腺ペプチドやサイトカインの研究が盛んに行われています。
中でも、「サイモポエチン」については、詳しく研究が進み、ドイツやイタリアでは1985年から先天性免疫不全症や癌(がん)による二次性免疫不全、自己免疫疾患などの治療に用いられています。
また、胸腺を自然に近い方法で抽出した胸腺抽出物には、これらの因子が含まれているといわれています。胸腺抽出物は、「飲む免疫」として多くの免疫研究者から注目されており、今後さらなる研究成果が得られることを期待されています。
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